いきなり挑戦的なタイトルでごめんなさい。でも、このタイトルにイラッとした方に、そうではない人よりもパソコンの仕組みに詳しくなれるきっかけになっていただけるチャンスになりそうな記事のアイデアを思い付いたので、それを紹介します。
パソコンの電源の切り方のなぜ
今、パソコンの使い方を、雑誌なり、教科書なりで勉強しようとすると、パソコンの電源の入れ方、切り方について解説しているよりも、Excelの使い方、あるいは最新の技術の使い方といった、電源を入れた後の話が主で、そこから学習しようとすると「はじめてのパソコン」のような入門書ですら詳細には書いていなくて、小学生向けや年配者向けの教科書を探さなければなりません。
また、パソコン教室でも、電源の入れ方、切り方については、方法としてレッスンはするものの、なぜそうしなければならないか、というところまでは解説していません。
パソコンでは、電源を入れるときには電源ボタンを押し、切るときは電源ボタンを押さず、マウスなどで、パソコンで電源を切るという操作をしなければなりません。もしそうではなく、電源を入れるときも切るときも電源ボタンを押しているのであれば、それは間違いですので今すぐ正しい方法にして下さい。しかし、それは一体なぜなのでしょうか。
その「なぜか?」と思う気持ちこそ、パソコンの使い方、そのものだと思いました。
家電製品の電源
家電製品では、電源のスイッチがあります。例えば次のようなものです。
電源を入れるときは、片方を押して、電源を切るときはもう片方を押すといったスイッチで、電源を入れた途端に電源が入り、電源を切ったとたんに電源が切れるものです。とてもわかりやすいですね。
パソコンは、どうしてこのようなスイッチになっていないのでしょうか。
パソコンの電源が入る仕組み
パソコンは電源を入れてから使える状態になるまでに、家電製品よりもより複雑な、「起動」という動作をしています。起動は自動的に行われるため、あまり意識していないかもしれません。
パソコンの電気製品ですので、電源を入れる操作をしないとまずはいけません。その電源は電源ボタンを押すことにより始まります。
電源ボタンを押すとパソコンに電気が通ります。これは家電製品と同じですね。ここで大事なのは、「パソコンはプログラムで動くもの」だということです。さて、そのプログラムはどこに入っているのでしょうか。
私たちが見ているパソコンを動かしているプログラムは「Windows」です。Macの場合は「MacOS」です。これらは「OS(オーエス)」と呼ばれます。OSはパソコンに内蔵されて取り出せないハードディスクやSSDといった部品に保存されているものです。ハードディスクやSSDには私たちも保存するのに使っているので、保存可能なものだということがわかります。
このOSが使える状態になるまでには、実はパソコンの中では実に多くの手順を踏みます。
電源スイッチが入ったら、パソコンはまず起動手順を読み出します。パソコンの記憶は、最初は空っぽなので起動手順ですら読み出さなければいけないのですね。
この起動手順は「BIOS(バイオス)」というところに入っています。
起動手順の最初は、CDやUSBメモリに入っているOSを読み出します。しかし通常、CDやUSBを入れた状態で起動させないので、その後の手順であるハードディスクやSSDに保存されているOSを読み込みます。
そうしたら、今度はOSの中に書いてある起動手順に沿って、手順を踏みながら起動します。
このような手順になるので、例えばOSの入っているUSBメモリやCDを用意しておいて、それを入れたままパソコンを起動すれば、いつも使っている以外のOSが立ち上がります。これはパソコンが故障したときに別のOSなら立ち上がるかどうかを試すことができるということになるので、詳しい人はOSの入ったUSBメモリやCDを用意しています。
ということは、OSの入っていないCDやUSBメモリを入れたまま立ち上げると、その中のOSが入っているか探してしまう時間がかかるので、起動が遅くなるということです。
パソコンの電源が切れる仕組み
今度はパソコンの電源の切れる仕組みを解説します。
まず、人間が起動しているOSに対し、電源を切る(シャットダウン)操作をします。
そうするとOSは電源を切る手順を開始します。それは、仕事の後片付けをするようなものです。パソコンは次回起動した時にも電源を切った時と同じ状態で開こうとします。その状況を保存したり、または保存しておかなくてよい設定などを仕分けしたりします。
その整理が終わったら、電源を停止します。
パソコンの電源を押して電源を切ると
では、ここでパソコンの電源ボタンを押すことで電源を切った場合、どうなるかを考えてみましょう。
パソコンの電源ボタンを押してパソコンの電源をその時点で切るというのはとても危険だということがわかるでしょう。
本来は、きちんとした終了の手順があって電源が切れるのです。それを飛ばして電源が切れるということは、後片付けをしない状態で次に起動したときに起動する手順で起動してしまうということです。その時点で起動する手順には、まさか散らかっているまま電源が切れていると思っていませんから、きちんと起動しなくなるということになります。それでも無理に起動しようとすれば何が起きるかわかりません。
または、Excelなどのデータを保存中であればハードディスクやSSDが動作中で突然電源が切れます。これは故障の元になります。
つまり、それ以降、パソコンが動かなくなる可能性がとても高くなる、ということです。
これが、パソコンの電源ボタンを押して電源を切ってはいけない理由です。
実際のパソコンの電源を押したときの動作
しかし、パソコンはどんな人が買うかはわかりませんね。購入するときに電源の入れ方、切り方を店員の方が教えてくれるわけでもありません。だから電源ボタンを押して電源を切る人も購入者の中にはいるのですね。
そのことにパソコンメーカーも気付いて、実際に終了時にパソコンの電源ボタンを押しても大丈夫なように、電源を切るのではなく、パソコンを一時停止状態にするという動きになるよう、または、電源を切るかどうかの選択ウィンドウを表示するように、パソコンやOSは動作するようになっています。
だから、実は電源ボタンを押しても大丈夫になっているのが現状です。
しかし、そのような状況でも電源ボタンを数秒長押しすれば電源が切れてしまいます。これは万が一パソコンの画面が動かなくなったときにどうしようもなくなった万が一というときのためにそうなっています。その時は終了手順を踏まずに電源が切れます。
このようなことから電源を切るときは、電源ボタンでは電源を切らないと覚えてください。
まとめ
この記事で学んでほしいのは、電源ボタンで電源を切らないでほしいことなのですが、もし、今まで電源ボタンで電源を切っていたのであれば、この記事のタイトルを見て、そうしてはいけないのかな?と疑問に思えたと思うのです。そこから、実際にはパソコンの中の装置やOSの知識をほんの少しですが得ることができました。
またそのことによって、更に、これはどうしてなんだろう?と思うことも増えたかもしれません。それでいいのです。その疑問に思うこと、なぜと思うことこそパソコンの知識なのです。
間違って操作していても、それが間違いだと知らなければ、そのままそれが当たり前だと思って操作することになります。パソコンの電源の切り方を間違えていれば、パソコンの故障に繋がります。「何もやっていないのに壊れた」の状態になります。しかし、この場合、何もやっていないわけではないのですね。でも本人にしたら、その知識がないだけで、なんで壊れたか知らないまま、次のパソコンを壊します。
このようなことが、実は今のExcelの勉強でも起きていて、知らないがためにExcelの計算書の設定を壊していると思われるケースの相談がとても多くなっています。
それを防ぐためには、今自分のしている操作は、正しい操作なのか、常に疑問を持ち、もし認識と違うことがあれば、それはなぜだろう?と考えること、これがパソコン上級者への近道なのです。
正しい知識を得るためには資格試験のMOSを勉強するということも有効でしょう。勉強を通して今まで操作していた認識と違うところを直せます。
MOS公式サイト
また、今回の電源の入るプロセスやパソコンの中身を勉強するのであればIC3という資格試験の勉強が有効です。