MOSの試験の問題は、読みにくい場合があります。そのような問題では正解になる確率が落ちるでしょう。
実は、どんな実技試験でも、読みにくくなっている問題文が存在しえます。
問題文を丁寧に書き過ぎれば大ヒントになってしまうし、かといって一見あたりまえに思える条件をあえて書かないと人によっては違う手段を使った答えだと思ってしまう。
またMOSやExcel自体に関してはアメリカ発祥の試験であることから、日本語で表現しにくいというところもあるかもしれません。
そのようなバランスから実技試験の問題文は作りにくいというのは、実技の模擬問題を作っていると思えてきます。
しかし、問題文の読み取りに国語力は必要であってはいけません。もちろん漢字は読めなければなりませんが、高度な国語力が必要であれば、それはパソコンの試験ではなく国語の試験になってしまうからです。
あくまで一般的な常識の範囲の国語の力で問題を正確に読み取って、出題者が何を言っているのか理解する必要があります。
文章を読むとき2つのタイプの人間がいる
多分ですが、文章を読むときの理解するスタイルは2通りのパターンがあると思います。
1つ目は、文章を最初から読んでいき、意識しないまでも、主語、述語、目的語をひとつずつ理解していくタイプ。
もうひとつは、文章を一度に読んで、イメージできてしまう人です。このタイプの人は試験の問題を読むのには苦労しませんが、問題の読み飛ばしをする可能性が高いので、一回理解した後に最初から抜けなく理解しているか1語1語確認すれば、問題のない人です。
あなたはどちらのタイプでしょう。
問題文には構造がある
精密に正確に受験者に問題の意図を伝える必要のある試験の問題文は、必ず、いくつかのパーツに分けられます。
それを意識し、問題文のどこが、どのパーツに当てはまるか、当てはめていくと正確に理解できます。
そのパーツは次の通りです。
目的のもの:どこに行うのかの部分です。セルなのかセル範囲なのか、列なのか行なのか、シートなのかブックなのか、それがわかれば、マウスでクリックし、選択するものがそれだとわかるのです。
どうするのか:何をするのかの部分です。書式の設定なのか、計算式の作成なのか、フィルターなのかといった機能を指します。リボンやメニューから呼び出すものです。
条件:同じ結果になる方法でも複数の方法があります。そのような場合には条件が書いてあります。手入力するのか、計算で求めるのか、あるいはフラッシュフィルなどの機能を使うのか
これらの要素を把握することで、問題の本質を理解し、解答に適した手段を見つけ出すことができます。資格試験では、実際の業務でのスキルを評価するため、問題文を正確に理解して的確な解答を導くスキルは非常に重要です。
それに慣れるには問題や課題を数多くクリアする必要があります。
問題文を分解する
問題文がそのままそれぞれのパーツに入らない場合もあります。時に「どうするのか」のパーツに入る言葉はそのまま問題文に入れば大きなヒントになるので入っていることはまずないでしょう。
「シート内の空白をすべて削除して下さい」という問題文は、「シート内のセル全部」に対し「空白を削除」するという問題指示です。
これは経験のある方は、置換機能を使ってスペースを検索値にして、置き換え後の文字になにも設定せずに、すべて置換のボタンをクリックするだけ。範囲選択をはじめからしているとその範囲だけが空白削除になるから、あえて範囲選択せず、1セルだけをクリックしておく。というシナリオが主当たると思いますが、その経験がない受験者には、かなりな難易度になると思います。
そのためには、どういうことをするとどうなるのか、こういう機能はどういう結果になるのかということを出題範囲に対してすべて把握しておく必要があります。また、よく仕事で使うような関連した使い方についても一通り知っておく必要があります。
練習してみよう
次の実践を想定した例題の文章で、読み取り方の練習をしてみましょう。
セルA1の値をセルB1にコピーしてください。
目的のもの:セルA1の値
どうするのか:セルA1の値をセルB1にコピー
条件:特に条件はないが、「コピー」という表現に注目するこの問題文はすべての情報が問題文に入っているのでイメージしやすいです。
ただ、「コピー」という表現は、コピーして貼り付けする2つの機能で出来ることに注意する必要があります。
セルA1を選択し、コピーの操作をして、セルB1をクリックして貼り付けの操作をする、という操作の内容ですね。
シート「売上」の「消費税額」項目に10%の消費税額を計算してください。
目的のもの: シート「売上」の「消費税額」項目
どうするのか: 10%の消費税額を計算
条件:「消費税額」の項目がどのようなデータを持っているか確認する、消費税を計算する式は [金額のセル]*10%
シート「売上」の「消費税額」項目が何なのか把握しなければなりませんね。範囲なのか1セルなのか、実際のシートと見比べて判断します。
「消費税額」というのは一般常識としてある金額に対して求めるもので、その情報が問題には入っていません。しかし常識の範囲なので、詳しい説明はありません。この時はその対象なる金額もシートを見て見つけなければなりません。
掛け算で「=[金額のセル]*10%」という式を「消費税額」のセルに入力し確定する操作です。
問題文には消費税額の「項目」とあるので、それが1セルではなくてもコピーし範囲全体に計算式を入れる必要があるので、1セルで操作が終わるのか、コピーまでするのか、コピーし終わった後に書式が崩れるような構造なのであれば、書式なしコピーにしなければならないのか、結構気を遣う問題です。
「比率」の項目が50%を超えていたら赤の文字にします。入力されている値が変わってもその値が50%を超えていたら自動で書式が設定されること。
目的のもの:「比率」項目
どうするのか:比率が50%を超えていたら赤い文字にする
条件:値を書き換えたときに50%を超えていたら赤い文字になる設定にする
条件が付く問題ですね。それが条件とは書いていないので問題文から条件のパーツだと読み取らなければなりません。
1セルか複数セルかはシートを見ないとわかりませんが、比率の項目があって、そこが50%を超えていたら赤の文字にするということです。
常識的に考えて、Excelは自動的にこういうことができるので、目で見て50%を超えているか確認してフォントの色で赤い文字にするのではなく、条件付き書式で設定するのですが、いやらしいのはその文章のあとに、条件として「入力されている値が~」という文章が続くところで、読み方によってはもう一つの操作があるようにも見えます。
そうではなくて、これは1つの目の句読点までの文に対する条件を説明していることに気づく必要があります。
対策法としては、このような2つ目の指示に見える分の前に「だたし」という言葉を入れてみると、条件になっていることが判別できます。
要するにこの問題は、「比率」の項目を選択し、50%を超えていたら赤にする条件付き書式を設定するだけの問題です。
まとめ
実際のMOS試験ではどんな試験の問題が出題されるかわかりません。しかし、客観的な事実として、実技試験の問題はヒントにならないくらい説明されておらず、誤解がないくらいに説明されていて、アメリカで始まった試験なので日本語の出題文章はちょっと理解しにくいところもあるだろうという予想に基づくと、この記事のようなことに辿り付きます。
MOS試験に合格すれば、それでスキルの照明になるので、WordやExcelが使える人、という認定がされるわけですが、そのスキルの中には、指示通りに操作ができることということも含まれています。指示はいつも100%をもらえるわけではなくて、1%の情報から100%の指示を読み取ることも必要で、それもMOSのスキルに含まれると思います。
それをクリアしたら初めて合格になりスキルが証明されます。
MOSの実施目的の中には、そのようなビジネスの中で実際にWordやExcelを使える人になってほしいということもあると思います。
丸暗記で、問題文パターンを解答法パターンに直接繋げる勉強は、そのスキル証明を誤って判断させてしまう可能性もあります。
ぜひ、丸暗記ではない勉強法をしてください。
さらにMOSの勉強をちゃんと活用すれば、このようにビジネスで使うだろう日本語スキルも磨くこともできます。
そのようなことをするには、そのような練習ができるように考えられた課題のある、以下の講座を受講することをお勧めします。