資格試験のMOSの試験の対策法はいくつかあります。かくいう私もこちらのMOSのキャリカレ通信講座を監修して専任講師をしています。
そんな中で、勉強するツールが便利なばかりに、必勝パターンを丸暗記する勉強法がとても多くなっていて、ある問題集だけやっておけば大丈夫だと言われています。
しかし、その便利な問題集を丸暗記するのはあまりにもその問題集の使い方としてもったいないと思っています。
当然丸暗記であれば、仕事でほかの課題が目の前に現れたとき、それを解決する手順を組み立てるスキルが育っていないので、解決には至りません。それは、MOSの本来の目的とは離れていると思います。
試験に合格した以上、試験の出題範囲のことなら課題を解決できるのは当たり前で、それができないということは、上司から見たら期待外れと言わざるを得ません。
そんなことにならないようにするためには、試験勉強前の頭の準備が必要で、その心構えを知らなければなりません。
MOSの出題範囲の勉強法
MOSの公式サイトから受験したい科目の試験の出題範囲のPDFファイルをダウンロードできます。この内容が、MOS試験で勉強しなくてならないもののすべてです。どの問題集よりも正確にその試験の中身を表しています。英語のドキュメントからの翻訳になっているのでそこは、すこし違いはあるのかもしれませんが、にしても世界で一番正しい情報です。
この出題範囲さえ押さえれば、機能的な知識と使い方は網羅できます。
ただし、その内容は非常におおまかに書いてあります。
「データをインポートする」と書いてあれば、データを取り込む、データの取り込み機能はすべて網羅する必要があります。これは、テキストデータを取り込んだ時に使う機能であるPowerQueryの機能を網羅する必要があるということになります。この範囲のどこから出題されるかわかりませんので。
ただやみくもに全部を覚えようとしてもPowerQueryの全機能は100時間あっても覚えきれません。そこで、考えるのは試験の時間で、あくまで試験の時間内にできる操作しか出題されませんし、出題されるのは何問もありますので、1問あたりにあまりにも時間のかかる問題を出題するとは思えません。ここからどのくらいのレベルまで出題されるのかというのを私たちが予測して問題集を作り上げているのです。
つまり、問題集を把握することによって、その機能の出題される範囲を限定できるので、全部を勉強しなくてもよくなっています。
また、私の作成基準は、その機能の核となる部分の操作ができれば、あとは探っていけばほかの方法も操作できるという場合は、省略するという基準で作成しています。
しかし、その紹介されている問題にある範囲だけが出題されるわけではないと思います。中には。周辺機能を探っていってたどり着ける問題もあると思います。
MOSの勉強は、その問題から派生して、その機能がどんなことができるのか、それを全部暗記しなくてもいいので、どんなことができるかを体験しておく、ということが重要です。
例えば値を貼り付け機能であれば、他にはどんな貼り付け方法があるのかを一通り調べておくということです。
自分で探ることを覚える
周辺の機能を体験するにしても、自分で思ったように操作できるようにしなければなりません。
例えば、貼り付けの問題ならば、貼り付け操作をテキスト通りにしたら、元に戻す操作の後、今度は貼り付けの下向き三角をクリックして、他の貼り付け方法を選択して、結果がどのように変わるのか、実際に体験するということです。
表示形式の問題なら、違う表示形式も試してみます。もし、「#,##0」のユーザー定義の表示形式を設定したのであれば、今度は「#,###」「0,000」で試し、さらにいろいろな数値を試します。この場合はテキストの操作を崩したくないので新規ブックで試すとよいでしょう。
このように、周辺の知識をワンセットで覚えて知識の幅を広げておくことが大事です。操作を覚えるのは、その機能の呼び出し方だけでよくて、その呼び出し方も、暗記しなくても一目でわかったり、なにかを入れるのであればリボンの挿入タブなど、自分にとって覚えるほどでもなくわかるものに関しては暗記しなくてよかったりします。
ファイルは壊してもいい
いろいろ試していく中で、これをしたら壊してしまうのでは?という思いがあって、なかなか先に進まないということもあるかもしれません。
少なくとも私たちの操作が原因でパソコンが煙を出して壊れるということはありません。WordやExcelが動かなくなることは、少なくてもテキストを進めたり、練習問題や模擬問題を解いたりしていることが原因で起きません。
操作間違いでパソコンが動かなくなることは昔はありましたが、今は強力に壊れるようなことが元からできないようになっています。
壊れるとしたら、テキストの教材のファイルがめちゃくちゃになってしまうということくらいです。
もしもぐちゃぐちゃにテキストのファイルが壊れてしまっても、もう一回、ダウンロードなり、添付のCDからセットしなおすことで、全く操作をしていない状態に戻せます。
恐れることなく、いろいろ試していきましょう。
Excelの関数名
Excelの関数名はその動作の英語になっているので、英語が得意な方は覚えなくても想像がつくので大丈夫だと思いますが、英語が得意ではない方にとって、関数名は入力しにくいものです。
Excelでは、関数は「=」に続けて初めの数文字を入力しただけで、関数の候補が表示されるので、覚えるスペルは初めに2、3文字で大丈夫です。
それよりも、関数それぞれの動作を覚えて、「SUM関数」を覚えたら、「SUM」から始まる「SUMIF」「SUMIFS」関数まで覚えることに力を入れましょう。
ChatGPTを使う
わからない機能があれば、昔はGoogleで検索し、出てきたページの内容を読んでそれで理解していましたが、そのページの内容がわかりやすく書いているとは限りません。
例えば、MOSの公式サイトにある出題範囲に乗っている文章をChatGPTに入れて、「この機能はどんな機能?」「この出題範囲で出題されるとすればどんな問題?」といったことを問い合わせてみるのも有効だと思います。
ただ、ChatGPTは2021年以前の学習しかしておらず、最新のMOS365で追加された機能についてわからないことと、ChatGPTはわからないときに、わからないと答えずに何かしらの答えを作ってしまうので、情報の正確さは別に実際に動作を確かめる必要があります。
まとめ
MOSの勉強にはお金と時間がかかります。その結果、試験の合格だけ、というのはもったいない気がします。上記で書いたような、テキストを中心にした勉強にしながらも、周辺にある機能を網羅していくことはとても重要です。もちろん周辺にある操作は、初めてする操作でしょう。だから怖くなるのもわかりますが、試すことをしていくことで、もし試験の時にわからない操作があってもなんとか調べることができる力を育てることができます。ビジネスにおいて、ExcelやWordの使い方は初めて使う機能ばかりです。そのような時に困らなくて済むようになるのです。
このように、MOSの試験対策は、単なる試験勉強だけでなく、問題が発生したときに自ら解決する力を養うことも目指しましょう。他の課題や実務でもスキルを応用できるようにしましょう。
そのような勉強ができる講座として、次の2講座を監修しました。ぜひ受講してみてください。