2023年末から、Excel初心者向けに、Excelの機能を分かりやすく解説し、練習問題を提供したり、Excelの基本的な使い方について発信したりしています。
- Excel初心者向け解説
Excel初心者向け記事
- Excel初心者向け練習問題
Excel初心者向け・練習ドリル
この活動を始めた理由は、正直に言うと、2023年のExcel講座では期待通りの成果が上がらなかったことに反省しています。これまでの経験から、「Excelを使うにはある程度のスキルが必要だ」という前提で教えていたことが、受講生に十分に響かなかったことに気づいたからです。
現状を知る
私がExcelを教える対象は、主にビジネスパーソンです。そのため、基本的な目標としては仕事での実用が前提となっています。
ただし、Excelを使いたいと考える多くのビジネス層が、Excelが具体的にどのように役立つのかを知らないか、それに対する具体的なイメージが湧かないことが分かりました。
Excelの利点は、計算式を手軽にコピーできることと、再計算が容易であることにあります。計算式のコピーは、大量のデータを一括処理する上で不可欠です。同様に、再計算は計算書のひな形を用意すれば、中のデータを差し替えるだけで様々な計算書を迅速に作成できます。
Excelで作成した資料は、提出相手の時間を有効に活用するために整理整頓が重要です。これらはExcelを使用するすべての人が心得ておくべき基本であり、継続的な意識が求められます。学習するならば、最初の段階でこれらのポイントを徹底的に理解する必要があります。
しかし、これらのスキルが中級者以上の段階で実感できるようになるのが一般的です。Excelを効率的に活用する重要性が理解できないため、覚えた計算方法が実際にどれほど役立つのかを実感できず、知識が定着しにくいのです。
これまでの経験から、「仕事をしていればこのくらいはわかっているはずだ」という思い込みではなく、Excelを仕事の手段として綿密に考えることが必要であると認識しました。
従来のExcelの教え方の否定
Excelの教え方は、通常、Excelの画面の見方、データの入力、計算式の入力、書式設定、基本的な関数、その他の便利な機能、そして他の便利な関数という順序で進められます。この教育の形式は、パソコンスクールや書籍でもよく見られます。このフォーマットは25年以上にわたり採用されており、Excelを覚える上で一定の効果がありました。
しかし、Excelを仕事で実際に使用する視点から見ると、教えられた機能を使って具体的な仕事にどう結びつけるかは、個人の想像力や対応力に大きく依存してしまいます。Excelは使えるものの、仕事の課題にどのように対処すればいいのか、という部分においては、受講生の中には想像が及ばないことがしばしばありました。
受講生がExcelの知識を理解できていなかったわけではありません。ただし、教えたことが実際の仕事に活かされていない場合がいくつかあったことを考えると、それは懸念すべき事態です。したがって、従来の教育方法が本当にExcelを実践的に使えるように結びついているのか、再評価する必要があると感じました。
Excelの本当の意味
Excelは、データを整理して合計や他の計算を行うための便利なツールです。このデータ整理作業を「集計」と呼び、数値をグループに分類して総計を求めるプロセスを指します。
重要な使い方の一つは、計算式を使って集計表を作成し、これをひな形として利用して継続的に報告する数字の集計表を手軽に作れることです。これはExcelを「効率的に活用する」という視点から非常に重要です。計算式や関数を効果的に利用することで、一度作成した計算式をコピーして複数の場所で使えるように絶対参照を設定することが重要です。
もう一つの視点は、Excelを電卓のような計算ツールとして使うことです。Excelには計算式や関数を使わずに計算できる多くの機能があります。たとえば、数値を比較する必要がある場合、Excelの計算式を考えるよりもピボットテーブルのような瞬時に集計が終わる機能を利用した方が効率的です。こういった計算式を考えずに使える計算ツールとしての側面は、これまでに十分に注目されていませんでした。しかし、計算式を作成するには数学的なセンスが必要なこともあり、数式の代わりに機能的に集計値を求める手段としてExcelが電卓の進化版として有益であることに注目すると、Excelがより身近に感じられるようになります。
大切なのは、数式が不要というわけではなく、数式の代わりの手段として別の方法も持っておくことが重要であるという点です。Excelの学習や利用において、機能だけでなく計算式や関数の使い方も重要視されがちですが、便利な機能についても理解しておくことが役立ちます。ショートカットキーの暗記も必要ですが、ショートカットキーに割り振られているそれぞれの機能がどんな役割を果たすのか、そして具体的に何に役立つのかといった情報も欠かせません。
魔のExcelの勉強
Excelは表計算ソフトであり、その表計算とは何か?と考えると、実際にはなかなか具体的なイメージが湧きにくいものです。特に、Excelをまだ使ったことのない人は、表で計算する意義を理解することが難しいかもしれません。
ただし、この理解を深めるためには、Excelの学習を進める必要があります。初めてExcelの勉強を始めると、何に使えるのかが分からないため、勉強がスムーズに進まず、学習が難しく感じられることがあります。
しかし、その意味を深堀りし過ぎてしまうと、Excelの学習が停滞してしまいます。ですので、まずはとにかくExcelの基本を学び始めることが大切です。最初は何に役立つのかが分からないかもしれませんが、学習を進める中で役立つ機能や応用が見えてくるものです。
この段階で挫折してしまうと、その後の学習が難しくなります。どんなに便利な機能があっても、Excelに対するネガティブなイメージが残りやすくなります。
Wordが文章を作成するためのものであることは比較的理解しやすいですが、Excelは何をするものか、仕事でどのように役立つのか、表といっても限られた情報しか目の前にないため、表計算のイメージが湧きにくいのが現状です。
残念ながら、Excelや表計算を一発で理解させる言葉は存在しません。従って、機能の学習を通して、表計算とは具体的にこういうことだというイメージを段階的に構築していくしかありません。これが従来の教え方の基本になっています。
新しい覚え方
Excelは、趣味として新しい発見を楽しむ人以外には、仕事以外での使用が限られると感じることが一般的です。しかし、仕事で問題を解決するためには、長期間にわたる学習が不可欠であることは明白です。おそらく基本的な概念を身につけるだけでも、ゼロから何週間もかかることもあるでしょう。
仕事の本質や取り扱うデータの性質を理解し、その目的に応じてExcelの表計算がどのように使用されるかを理解することが重要です。私は、Excelが効率的な計算ツールであることを理解させるために、どのようにアプローチすればよいかを綿密に考えました。
まず、Excelが効率的に計算するためのツールであることを理解してもらうために、単純な計算機能からスタートすることにしました。例えば、範囲を選択すればステータスバーに合計が表示され、データを並べ替えれば同じ商品が一箇所にまとまり、その金額を範囲選択してステータスバーを見ることで簡単に把握できます。
ただ、これだけでは時間がかかるため、そこでピボットテーブルが登場します。しかし、ピボットテーブルを使用する前に最低限の計算が必要です。ここで四則計算を導入し、初めて計算式の作り方を紹介する流れに至りました。
このアプローチにより、Excelが大量の計算を処理するためのツールであることが理解されるので、数学的な概念に入る段階でのハードルを下げることができると考えました。
まずは、機能的に計算する方法で、電卓との違いと自動的に計算できることの実感を養い、そこから、計算式や関数を覚えるという流れです。
楽しくなければ意味はない
楽しくなければ意味はありません。Excelに対しては、なんとなく苦労するものという印象がついてしまっているようですが、それではなく、楽しいと感じられることが先決です。成功体験を積むことが最初のステップです。
私はExcelが楽しくてたまらないと思っています。その楽しさこそが、Excelスキルの向上への近道だと考えています。これからは、Excelは単なる勉強の対象ではなく、パソコンを使って楽に、そして楽しく課題をクリアしていく体験だとアピールしていきたいと思います。
勉強と聞くと、なんとなく苦労しなければならないものというイメージがありますが、Excelは違います。楽しく体験しながら、自分のペースでスキルを向上させ、役立つことを吸収していけるものです。体験を通じて、自分にとって本当に必要なスキルを見極め、それを育てていくことができます。
仕事の経験がない中学生にもわかる
中学生や仕事の経験がない人にも、Excelをやさしく導入する方法を考えました。具体的には、Excelを使って仕事の効率を上げるためには、仕事やExcelの役割を理解することが大切です。例えば、会社がどうやってデータを使って儲けるか、経営的な目線でデータを入力し、意味を理解し、分析することが重要です。
それぞれのExcelの機能を解説する中で、ただの数字や文字だけでなく、実際の仕事で使えるデータの有効活用や、仕事の詳細な説明も行います。これによって、Excelが使えるものになることが分かります。
Excelの学習は、単なる機能の覚え方だけでなく、社会の仕組みを理解する社会勉強の一環でもあります。また、機能に焦点を当てた学習方法は、計算が苦手な方や暗記が難しい方、学習に障碍がある方にもやさしく取り組みやすいものだと考えています。
まとめ
以前のExcelの教育方法を否定するわけではありませんが、従来のFAX文化の時代に適した学習方法が、現代の令和時代において通用しなくなっていると感じています。昔とは異なり、現在では1人1台のパソコンを使用し、Excelのデータを密接に扱うことが一般的になりました。以前はデータを印刷し、目で見てマーカーでチェックし、そのチェックした箇所の合計を電卓で計算することが一般的でしたが、今はAIにより多くの作業が自動化され、少しの応用で10時間の作業が1秒になることも実現しています。
以前から自動化できる方法があったにもかかわらず、現場での実現が進まなかったのは、本当のExcelの使い方が理解されておらず、これまでの方法では不十分だったためです。そのため、各企業が抱える具体的な課題には個別に対応する必要がありますが、それぞれの方法を理解する上でも、Excelの基本操作である集計とデータの操作、見た目の整ったシートの作成、ファイルの管理など、手の届く範囲でハードルを低く設定し、Excelのレベルを向上させることが重要です。
このため、Excelの基礎的な情報はすべて無料で提供し、これにより広く知識を共有し、Excelの利用水準を向上させることを目指しています。