昨日、こんなニュースがありました。
文書を作成するソフトに一太郎を使っていることが法案作成ミスに繋がっているので、Wordに変更しようというお話です。
しかし、Wordはアメリカ生まれの文書作成ソフトです。
日本とアメリカの文書の違いを考えるとかなり大きな違いがあり、実は日本語の文書をWordで使うには、文書のあり方から考えなければならなくなる場合もあります。
根本に近いところまで掘り下げて考えてみましょう。
日本とアメリカの文書の違い
日本では昔から縦書きの文書が作成されてきました。一方アメリカでは横書きの文章です。大きく違うのがこの部分ですが、他にも、とても大きな違いがあるのです。
日本語文書では、縦何文字、横何文字できちっと決まった原稿用紙のように文字が整然と並んでいることがよしとされます。
上の行の文字のきちんと下にその文字がないことは嫌われています。
アメリカの文書は英字新聞をみるとわかるように、横方向の文字数が決まっていません。それどころか1文字ごとの文字サイズが違います。
わざと文字の幅を揃えると、次のようになり、読めないことはないのですが読みにくくなってるように感じます。
一太郎とWordの得意な範囲
一太郎は歴史的に考えると、30年以上前からある文書作成ソフトで、昔、パソコンが家庭に広まる前に日本語ワープロ専用機という文書作成することに特化された機械が家庭に広まって、一太郎はその使い勝手と同じ使い勝手で使えるものです。日本語文書を作成することに特化されていると言ってもいいでしょう。日本の縦書き文書のニーズにマッチした使い方ができるのです。
一太郎が得意なのは、縦書きで原稿用紙のようなきっちりとしたレイアウトが得意です。
一方でWordは、古くは英文タイプライター文化から始まり、そこにパソコンで文書を作成するにはどうしたら効率が良くなるのかの考え方を統合したもののように感じています。様々な機能で1枚の文書から、図や表がたくさん入った論文やレポートを作成するのに手間がかからないようにできているもの、最近では、筆者が書いたら校閲を自動で行ってくれるといった機能まで備えています。
Wordは英文や図表の入った文書が得意です。また文書の構成を設定するのも得意です。
文書の構造
文書には、ただ、内容の文が入っている手紙や小説のようなものと、章番号や箇条書きで構造化されたWebページのような文書があります。
小説や物語は、情景を想像できるような形だといいので構造化されていない文書の方が適しているのでしょう。
一般的なビジネス文書は誤解されることが一番いけないことなので構造化された文章の方が良いのですが、中にはそうではないビジネス文書も見られます。
法令文書はおそらく構造化された文書ではあると思うのですが、縦書きのケースもあり、それが構造化されていないようにも見えるのです。
ビジネス文書は、概略がはじめに書いてあって、この文書は何について書いてあってどんな結果かわかるようになっています。情報の出し惜しみは無しです。
一方構造化されていない文書では、オチを最後に言ってしまうというケースは例外的にはあるでしょうけどほとんどの場合は最後のクライマックスに結果があるという違いもあります。
文書の構造はWebページにとってはとても大事で、何という見出しの中で何が書いてあるか、というのをGoogleが自動で分析して、いいコンテンツであれば検索順位の上位に来るようになっています。ということは文書の構造をきちんとGoogleの自動化された分析プログラムにわかりやすい形になっていないとWebサイトを見に来てくれる人がいなくなるということです。おそらくそのわかりやすい形というのは人間が選んだとしても誤解がないわかりやすい形になっているのだと思います。
一太郎は構造化されていない文書に向いていて、Wordは構造化されている文書に向いているようなイメージを持っています。
文書の構造を誤解のないものにする
今回どんなミスがあるのか色々調べてみたのですが、その中で見つけたのは次のような例でした。
スペースキーで見た目を整えていたり、空白行を作って 行間を表現したり小さいフォントサイズでルビを振ったりとツッコミどころが満載な文章なのですが、その中でも一番誤解に繋がるのが、「ビデオについて」と「ヘッダーとフッター」が同じレベルの見出しであるにも関わらず、 上からの開始位置が違うので「ビデオについて」の下のレベルの見出しとして「ヘッダーとフッター」があるように見えます。入力内容としては間違ってなくても、明らかな誤解のもとになるものです。今回はマニュアルのような内容ですがこれが法令文書だった場合大きな影響が出ると考えられます。
文章は入力内容だけがあってればいいのではなく、見出しやその説明文の開始位置も重要なのです。
そのために必要な機能がインデントで、スペースキーで揃えるのではなくインデントという開始位置を決める機能できちんと開始位置を揃えていくことが文書作成においてはとても重要なのです。
それを説明した記事がこちらです。
また、その理由含めこの本に詳しく載っていますのでお勧めです。
まとめ
以上の考えにおいて、実はそれほど重要ではないことは、縦横に文字が揃うことです。また、行の切れ目が文節以外であることも嫌われますが、読みやすさから言えば、十分に行間に余裕を持てば、重要ではありません。何よりも文節で無理やり揃えるためにEnterキーで行を送るという行為で、Enterで行を区切るというのは、そこで一つの説明が終わるのと同義だと考えるくらいのタブーです。ひとつの説明の中で自然と次の行に行くように文書が作成するものです。そのためのインデント機能です。
Wordと一太郎の区別を入ってきましたが、15年以上前からその差が埋まるようになってきています。Wordには日本語文章を作成しやすくなるような機能が増えてきています。一太郎には文章を編集するための機能が増えてきてまた英文を使うのも得意になってきています。なので、一太郎だからミスがあるというのはあまり理由になっていないような気がしています。一番の原因はパソコンで文章を作るのに必要な機能があるということを知らないことではないかと思います。
とはいえ、Wordはグローバルスタンダードになっている文書作成ソフトですので、フォーマットの違いではなく、使い方の統一性として考えても第一候補に上がるものかと思います。
中には一太郎と相性が良く、それこそWordで作る最速で正確な人のだれよりも、一太郎で早く正確に文章を作れるのであれば一太郎を使った方がいいわけです。
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