みなさんは、 Excel 方眼紙という言葉を聞いたことがありますか?
初めて見た人はびっくりするかもしれません。
Excelの表で項目数がこれしかないのに列が大量にあるのでものすごく威圧感を感じる方もいます。
たくさんのセルを配置して好きなところから文字を始めることができるのが大きなメリットです。
ひとつのセルにまとめたい時はセル結合すればそれでできるので、手軽に自分の好きなレイアウトでビジネス文書をExcelで作ることができます。すばらしいですね。
もしかしたら、初めてこのようなExcelシートを見た方の中には、とても魅力的に見えているかもしれません。
しかしこれは最善のビジネス文書の作り方なのでしょうか。
Excelで作るべきものなのか、というところまで遡らないと、いいビジネス文書の作り方かどうかは分かりません。
いいビジネス文書の作り方
いいビジネス文章の作り方というのは、おそらく定義できるものだと思います。
「作成する時間が早い」「手間がかからない」「正確に作ることができる」この3つではないでしょうか。
残念ながらビジネス文書を作成すること自体は直接売上に繋がりません。とはいうものの作成することで確実に売り上げを上げることができるようになったり、より正確な流れで仕事を進めたりすることができるようになります。
そういう意味では、0秒で、人間の手間が全くかからず、100%正確な文書が作成される、というのが極端ではありますが理想のはずなのです。
それを考えると、なんでもExcelで作った方が、自動化されているものなのだから効率がいいと決めつけて作成している現状に疑問が生まれてきます。むしろWordやその他の方法で作成したほうが早く、手間もかからず正確に作成されるということが考えられます。
特にExcel方眼紙では、何列になるか分からない列数をセル結合したり結合を解除したりしながらレイアウトしていくので本当に効率がいいのか分かりませんし、実はWordでも表の計算ができるということを知らないでExcelなければ計算できないと思っていれば、それしか手段がないように感じるでしょう。
「エクセル方眼紙で文章を作るのはやめなさい」は、今、世の中のパソコンの使い方ではそのような使い方が蔓延していることに疑問を投げかけ、もっといい方法があるということに気づかせてくれると共に、どういう操作をすればいいのかを具体的に教えてくれる本になっています。
読書感想
この本には前作がありました。
「スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい」
前作もパソコンをうまく利用している人からはとても共感を得られるような内容とタイトルでしたが、この本でも、同じように、世の中のパソコンの使い方が効率的ではない使い方になっていると気づいている方にはとても共感を得られるような内容になっています。
第1章のポイント
この本の第1章に書いてあることで印象的だったのが、Excel 方眼紙を使う理由として、Wordの知られざる機能を使っていないから本来はWordで作った方が効率の良い文書でもなんでもかんでもExcelで作ることになってしまうということです。
WordはExcelに比べてどんなことができるかという情報が圧倒的に少ないので、便利な機能があるにも関わらずその機能を使わないので非効率になっているということが大きな原因だと私は考えています。
だから色々な Word の機能を積極的に探しながらこれからは使っていくという文書作成の方法に変わっていくのではないかなと思っています。
Wordはおせっかいと敬遠されるところもありますが、私自身、そのおせっかいがどのような特性を持っていてどのようなデメリットがあるけどもどんなメリットがあるかということも把握しておいて、一つ一つの操作の前におせっかい機能が働くのであればどういう結果になるかということを予想しつつ使って行くことによって、おせっかい機能は実質なくなっています。
第2章のポイント
第2章では長文の作成について詳しく書いてあります。Wordの最も得意な分野は論文作成だと私は思っていて、論文というのは何ページにもわたり、文章が要約された見出しがあってその中に詳しい内容が書いてあるという構造のものです。そのために使うのがアウトラインという機能でその詳しい使い方が説明してあります。
文章の構成と言う意味でWordの使い方が説明されていますが、実際に長い文を作成するときには、どういう論理展開をした方が良いかどうか、ビジネス文書であれば結果を先に書くとか、起承転結を文書に入れると読みやすくなるとかそういうテクニックもあるのでそれは次の私のブログ記事に書いてありますので参考にしてください。
第3章のポイント
第3章ではExcelの使い方のうち、一覧表を管理することについて様々な機能が紹介されています。
一覧表管理は今日においてExcelの使い方の大部分を占めるようになりました。本来 Excel は表計算ソフトなので計算が得意なはずなのですが、一覧表管理をすることもできるので今までも一覧表管理に使われてきていましたが、その使い方も非効率な使い方で使われることが多かったのです。
Excelには簡単に使える機能でも一覧表管理に特化した便利な機能がたくさんあるのでそういうものを活用しようというきっかけになるのではないかと思いました。
第4章のポイント
第4章は申込書をどこでも変更できるように記入者に渡すと色々な所に書き込まれたり、必要だったところまで消されたりということがあり困っている人も多いのではないでしょうか。
それは送られて記入した人が悪いのではなくどこにでも記入できる状態で渡した方にも責任は大きいと思います。
そのようなことがないように記入して欲しいところだけに入力できるようにすると言ういわばWordフォーム作成機能について詳しく書いてあります。
こちらも私のブログに記事が書いてありますのでよかったら読んでみてください。
第5章のポイント
第4章ではWordで色々な所に好きなように書き込まれると困るということに対する対処について解説してありましたが、第5章ではExcelにおいて自由に入力されるようなことがないように設定する方法が解説されています。こちらは割と知っている人が多いかもしれませんね。
どんな人に読んで欲しいか
この本を読んでほしい人はどんな人か、本音を言うと非効率にビジネス文書を扱っている人全てです。しかしながらこの本がその人たちに届くかと言うと難しいところはあるかもしれません。非効率にビジネス文書を扱っている人はこの本のタイトルを見てもはっとしないし、共感するスキルを持っていないからです。
是非この本で共感をした方は、世の中が非効率なビジネス文書の作り方にあふれていることを知っている人だと思うので、この本に書いてある対処法を広めてほしいと思います。
本の内容的には、はじめて使うWord、初めて使うExcelという内容ではありません。少しでも使ったことがある人向けだと思いますし、自分の使い方が効率的かどうか一度はチェックしたことがある人向けだと思います。つまり初心者にとっては若干難しいのかなとも思いますので、ぜひこの本の内容に共感した方には、効率的なビジネス文書の作成方法を広めていただきたいと思っています。
前回の本同様、紹介されている機能はすべてMOSの試験の出題範囲で指定されている機能のみです。もしもMOSの試験を受けて合格したけどもせっかく覚えたこの機能をどう活用していけばいいかわからないとか、現場でどう使われているかわからないという方は、最優先で読んで頂きたい本です。
まとめ
前回もWordとExcel両方入っていて、今回の本も同様にWordとExcelの内容が入っていますが、前回よりも明確にWordなのかExcelなのかが区別されていますので読みやすいと思います。
この本一冊でも十分にためになるのですが、やはり前回の本と合わせて読むと2倍ではなく3倍、それ以上の効果を発揮すると思いますので一緒に2冊読まれることをお勧めします。
しかし前回の本が出版されて、ものすごく売れたとはいえ、この内容をたった10か月くらいで仕上げたというのは驚きです。前回紹介されていなかった隠れた機能もたくさん紹介されていました。
でも、まだまだ紹介して欲しいWordの機能はたくさんありますので、四禮先生には大変ご苦労をおかけしますが次回作も期待しております。
コメント